―― 長い探求の末、あなたは最果ての地にたどりついた。見渡す限り凍てつく大地。そして闇。生物の気配はなさそうだ…。
そう思った矢先、足音もなく人影が現れた。少女だ。銀の髪と白い肌、そして紅の瞳が闇に浮き上がる。その手には強大な魔力を放つ球体を携えている。
闇の巫女:
「ここから先は暗闇の世界。一寸先は未知の虚空、頼れるのは自分の腕と直感だけ。それでも進むの?」
あなたは覚悟を決めて言った。
「…もちろんさ。ここまで来たら、たとえ倒れ伏そうと悔いはない。あとは己を信じて進むだけだ。」
「そう…。それなら力を貸しましょう。
さあ、手を。」
差し出された球体に手をかざす。と、ほとばしる魔力が肉体を覆い、変形させ、強靭にしていく!みなぎる力。もはや人の姿など必要ない。折れない心さえ残っていればよいのだから。
…さあ行こう。ここからが本当の戦いだ!
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というわけで、残りの2回は簡単なモンスターイラストのほうとは方向性と描き方を180度変えて、ちょっとカッコいいイラストに挑戦しましょう。
今回は上のイラストのようなダークヒーローの制作過程をささっとご紹介します。 以降、ソフトの使い方等細かい部分は割愛しますので、参考程度にとどめて好みの方法を研究してください(塗りに関しては良質な講座や書籍がたくさんあります)。
それでは、さっそく始めましょう。
(2014⁄11⁄3作成、2015⁄1⁄12課題追加)
1.アナログで適当なラフをいくつか描きました。アナログ・デジタルにかかわらず、まずこのように小さなラフを描くのが最初のポイントです。
はじめに小さな絵をいくつか描いておくとイメージを掴むのが楽になります。もちろん最初から大きく描いてしまっても良いのですが、小さいほうが全体を俯瞰(ふかん)できてミスを防げますし、複数のアイデアを試しやすいので便利です。イラストにとりかかる前の準備運動だと思って気楽に描いてみましょう。
2.ラフを元にデジタルで作業を進めます。
まずは線画。構図はこの段階でちゃんと決めておきましょう。
余談ですが、私はデジタルで線画を描くのはものすごく苦手なので、この段階で無駄に時間を食ってしまいました。線画が不要な塗り方をする場合はこの段階を省略することもあります。
3.下地を塗り、さらにデザインを詰めます。
ここでのポイントは次のとおりです。
イラストを描くときは、まず全体のバランスや構成を重視しましょう。 (私も含め)几帳面な人ほど細部に力を注いでしまいがちなのですが、 そうすると全体のバランスが崩れたり、時間がかかってやる気がダウンしたりしやすいです(細部にこだわるのがダメというわけではないが、力の配分が大切)。 特に「力強さ」や「スピード感」などを出したいイラストのときほど全体の勢いが重要になりますので、心当たりのある方はお互い気を付けましょう。
また、この段階でキャラや背景の配色を決定します。デジタルなので後で修正するのは楽なほうですが、やはり早めに方向性を決めておくに越したことはありません。どうするか迷ったら、直感でも何でもいいので思い切って決めてしまったほうが良くまとまると思います。
4.暗いところと明るいところを決めて塗りを進めます。絵の凹凸を意識して立体感を出せるようにしましょう。今回は線画の上から塗る→再度線で形をとる、という塗り方を何度か繰り返しました。あとマフラー(?)のはためきを描くのがすごく難しくて、あんまり納得のいくように描けませんでした。
5.ある程度塗れたらディティールを描き込みます。細かく描くのが好きな人はここで本領を発揮しましょう。ただし細かすぎると縮小したときに意味がなくなるので注意。
それから背景を右側のように仕上げました。光の部分はモミジ型のブラシで描いた線に移動ぼかしを適用し、レイヤーモードをスクリーンにして作ってあります。なお背景は引き立て役ですので、雰囲気を示唆する程度に適当に描けばOKです。
6.最後に特殊効果で味付けをすれば完成です。手を加えた部分は次の通り。
描いた後は反省も忘れずに。
次回はこの講座の締めくくりとして、最終決戦っぽいイラストを描きます。その前に課題も出しておきますのでぜひ挑戦してみてください。