モンスターを描こう!:モンスターの描き方・考え方講座

デジタルイラストの基本

Stage3の「モンスターのイラストを描いてみよう」ではデジタルで塗る描き方をご紹介していますが、この講座をご覧になっている方の中には「そもそもアナログでしか描いたことがない」「デジタルはWindowsのペイントにマウスで描いたことがあるくらい」という方もいらっしゃると思います。そこで、ごく簡単ではありますがデジタルでの作画に関する基礎知識をまとめておきます。

デジタルで描くメリット・デメリット

まず、アナログと比較したときの利点欠点は次のとおりです。

メリット

  • とにかく修正が楽。いくらでも試行錯誤できる
    (紙をグシャグシャに丸めて放り出し、「また描き直しかよぉぉ!」と絶望する心配がない)
  • 準備や後片付けの手間がかからない
  • 一旦道具をそろえればお金がかからない
  • 同じソフトで色々な描き味を出せる
  • すぐネットに公開できる

デメリット

  • プラスチックみたいな質感(平べったくてテカテカした感じ)の絵になりやすい
  • アナログほど直感的ではないので、慣れるまで時間がかかる
  • ついついソフトの機能に頼りすぎてしまう
  • クラッシュやフリーズでデータが飛ぶ可能性がある

こうして列挙すると、別にデジタルだからアナログよりも優れている、とかは全然ありません。どっちも一長一短です。それぞれの利点欠点をちゃんと把握し、自分の好みや目的に合ったほうを選べばよいと思います。

パソコンで絵を描くときに必要なもの

デジタルイラストを描くためには初期投資が必要です。始めるにあたって必要なものは次のとおり。

  • そこそこの性能のパソコン
  • ペンタブレット(ペンタブ)
  • ペイントソフト
  • くじけない心

1と4については割愛するとして、まずはペンタブが必要になります。ペンタブは形がまんまペンなのでマウスとは比べ物にならないほど絵を描きやすく、また筆圧を感知してくれる機能があるので便利です。

もう一つはペイントソフトです。まあ、わざわざ用意しなくてもWindowsのペイントでもこのくらいの絵は描けます。ただ、やっぱり不便なのでもっと高性能なソフトは用意しておきたいところです。

ただし注意点として、フリーソフトはあまりお勧めしません。頑張り次第ではそこそこ描けるものが多いとはいえ、無料のペイントソフトというのは概して不便なものです。ちょっとお金を出せば格段に便利なソフトが手に入りますので、せっかくデジタルで描くならそういうソフトを使うほうがいいと思います。

道具の選び方

個人的な意見ですが、次のようなポイントで選んでいます。

道具選びのポイント

  • タブレットはシンプルなものを選ぶ。
  • ソフトはなるべく高性能なものを買う。また、同じくらいの価格のソフトが複数あれば必ず比較検討し、自分にとって一番使いやすそうなものを選ぶ。

まず、タブレットは無駄な機能がないほうが扱いやすくお財布にも優しいです。そこそこ筆圧の感度があり、頑丈であれば正直何でも構いません。細かい作業はソフト側でいくらでもカバーできるので、タブレットよりもソフトにお金をかけたほうが割に合うと思います。

一方、ソフトのほうはお値段も機能もピンきりで、どういう絵を描きたいかにもよるので一概には言えません。しかし断言できるのは「ソフトでケチらないほうがいい」ということです。なぜなら高性能なソフトでは一瞬でできることが、しょぼいソフトだといくら頑張ってもできないことが多いからです。これでは、便利さというデジタルで絵を描くことの最大のメリットが薄れてしまいます。イラスト専用であれば6000円くらいでかなり高性能なソフトを入手できますので、もっていなければ思い切って買いましょう。

ちなみに、超高性能なPhotoshopとかPainterは普通に買おうと思うと目玉が飛び出るほど高価ですが、学生であれば学割を利用する手もあります。私の場合はそれでPhotoshopをかなり安く購入しました(それでも3万くらいしましたが…)。お高いソフトは10年くらい余裕で使えるらしいので、本気で長年取り組むつもりならむしろお得です。

ペイントソフトの主な用語まとめ

よく使う用語について、だいたいこんなもんかな、程度にザックリまとめました。厳密な定義や仕組みを詳しく知りたい方は適宜ググってください。

用語一覧

  • レイヤー
    透明なシートに絵を描いていき、それを重ねて一枚の絵として出力できる、というイメージの機能。例えばキャラと背景を別々に編集できる。とても便利だが、増やしすぎると塗るレイヤーを間違えたり動作が重くなったりするので注意。
  • ブラシ
    デジタルで色を塗る時のツールの総称。ここをみるとソフトの良し悪しがだいたいわかります。高性能なソフトだと自由自在にカスタマイズでき、表現の幅が広がる。
  • テクスチャ
    イラストに質感を与えるために使う画像。石とかのザラザラした感じはデジタルだと出しづらいので、テクスチャを貼ってごまかす人が多い。
  • フィルタ
    絵に色々な効果をつけるための機能。高性能なソフトほど色々な種類のフィルタがあるが、たいてい使いこなせないし使わない。
  • RGB
    パソコンにおける色の表現方法の一つ。赤、緑、青の三原色。
  • アルファチャンネル
    簡単に言うと色の「透過度(=透明さ)」を表す指標のこと。これに対応した画像形式(PNGなど)だと、透明な背景を設定可能。
  • マスク
    特殊なレイヤーに色を塗ると、その部分だけ透明になる機能。元の画像を消さずに見えなくすることができる。

デジタルでの作画の流れ

Stage3のほうを見ていただければよく分かると思いますが、一般的な(と思われる)作画の流れは次のような感じになります。

  • ラフを描く
  • 線画を清書する(後で線画が必要になる場合)
  • 下地を塗る
  • 影やハイライトをつける
  • フィルタやテクスチャで味付けする
  • チェックして納得いけば完成。

パッと見アナログとそれほど変わりません。途中でソフトの操作が色々入るくらいで、基本は同じです。

デジタル作業でやるといいこと

最後に、デジタルで絵を描くときにやっておくといいことを書いておきます。

絶対やるべきこと

  • こまめに保存する(無意識のうちにCtrl+Sを押している、くらいの癖をつける)
  • 作品ファイルは定期的にバックアップする

途中でやるといいこと(絵の間違いチェック)

  • ときどき絵を左右反転させる
  • ぶっ通しでやらずに休憩する。気持ちが新鮮になり冷静にチェックできる

描き終わったらやるといいこと

  • 描いた絵を一日寝かせてから見直す
  • 良かったところや悪かったところについて反省を行い、ノートやブログにまとめる

なにも絵に限ったことではありませんが、パソコンなりゲームなりのデータはちょっとしたことでパーになります。あとで泣かないようにするためにもセーブはこまめに。あとは書いている最中と描き終わった後に、絵を客観的にチェックする癖をつけるとレベルアップしやすくなると思います。