モンスターを描こう!:モンスターの描き方・考え方講座

陰影の描き方基礎講座

先日「影の付け方が分からない」という質問を頂いたので、陰影の基礎について説明しておきます。たしかにこれは難しい課題で、私もけっこう苦手で苦労しています。もしかしたらよそのサイトのほうがよく解説されているかもしれませんが、私なりにまとめたので参考になれば幸いです(2017年10月26日)。

「影」と「陰」の違い

さて、まずはじめに…皆さん何となく使っていると思いますが、「影」と「陰」は別物です。試しに辞書を引いてみると、

かげ【影】
物が光をさえぎった時、光源と反対の側にできる、その物の黒い形
かげ【陰/蔭/翳】
物に遮られて、日光や風雨の当たらない所。

とあります(大辞林第三版より)。

これは一体どういうことか?下にゲイザー君に光を当てたときのイラストを載せますのでご覧ください。
影と陰の違い

矢印の方向からライトの光が当たっていると考えてください。ゲイザー君の体を見ると、ライトが当たっている部分は明るいですが、裏側は光が当たらず暗いままです。この暗いところが陰。一方、光がゲイザー君によってさえぎられるので、地面の一部が暗くなっています。こっちが影。わかったかな?

で、ここで非常に残念なお知らせがあるのですが、今回私が解説できるのは「」のほうです。「影」のほうは難しすぎてお手上げ!(こっちを期待してたらごめんなさい…)そっちのほうは多分グーグル先生なら教えてくれると思うので検索してみてください。

簡単な「陰」の付け方~「平面」を意識する

…気を取り直して陰の描き方です。陰の付け方が難しいのは、どの部分がどれくらい暗くなるかが分かりにくいからだと思います。特に滑らかな曲面なんてどうでしょう。う~ん、考えただけで難しそうです。

そこで助っ人となる考え方が「単純化」です。もっと単純に考えてみればいいのです。下の図を見てください。


これは円柱に真横から光を当てた場面を単純化したものです(円柱を八角柱にした)。実際の円柱だと陰の暗い部分は綺麗なグラデーションになりますが、上の図のように曲面を平面に単純化すると色のパターンはa、b、cのたった3パターンだけになります。こういう感じに、暗くなる部分をザックリとらえれば陰をつける場所がわかりやすくなると思いませんか?

ということで、ポイントは曲面をなるべく平面に置き換えることです。具体的にどう置き換えるかは次の作例で少しやりますが、決まったパターンはないのであなたの感覚次第だと思ってください。実際に物の陰影を観察したり、それを描いてみたりすることで何となく分かってくると思います(この辺は感覚的なことなのでこれ以上は解説のしようがない)。

作例:ジャックランタン

それでは作例です。ハロウィンが間近なので、今回はカボチャのお化け「ジャックランタン」を使って陰の練習をしてみましょう。

ジャックランタン(線画)
これが線画です。特に言うことはありません。

ジャックランタン(陰のアタリ)
頭の中で形を単純化して、陰がどうなるかをシミュレーションします(※イラストは頭の中のイメージを描いたものです)。カボチャ部分は思い切って電池みたいな形として考えました。腕と足は平面化しきれないので、明るいか暗いかで分割します。

ジャックランタン(完成)
あとはそれを線画に落とし込むだけです。かなり単純化した陰を使っているので少し不自然ですが、このくらい描ければ十分でしょう。

…というわけで陰影の描き方基本講座でした。ここでは本当に表面的な部分しか説明していないので、興味のある人はググったり図書館に行ったりして文献を調べてみてください。なかなか難しいテーマですが頑張ってものにしていきましょう。