モンスターを描こう!:モンスターの描き方・考え方講座

ネットの画像だけに頼らず、実物も見に行こう

モンスターデザインにおいては、面白いデザインを考えられるかどうかは「引き出しの多さ」に左右されているといっても過言ではありません。デザインに使える形状を知っているほど組み合わせの数も増えるわけですから当然ですね。それでその「引き出し」を増やす手段についてですが、これに関してはおそらく多くの方がネット、特に画像検索で参考資料を探していると思います。しかしこの方法、便利な反面これだけで満足してしまうともったいない部分もあるので、今回はそれについて話します。

さて言わずもがなですが、画像検索は手っ取り早く参考資料を集めたいときに便利です。あまりに便利なので、数年前まではネットから画像を集めて一日の趣味の時間を終えることが結構ありました(笑)。おかげでメジャーな生き物はもちろん、珍しい生き物の色や形を知ることができるなど、だいぶ引き出しを増やすことができたのは事実です(画像が増えすぎて、大半は二度と見ずにフォルダの中ですが)。

しかししばらくして、ただ単に引き出しを増やすだけでは不十分だということに気づきました。なぜなら写真でしか見たことがない生き物(特に変な形のやつ)は、写真に写っている方向・ポーズでしかまともに描けなかったからです。その一方、今までに実物を観察したことのある生物は立体的なイメージが頭の中にあったので、写真は色々な角度・ポーズで描くための手がかりとして十分役立ちました。

このことから分かった重大なポイントは、引き出しに入っている情報が有機的な繋がりを持っているほど有利だということです。ここでいう有機的な繋がりというのは、「ここはこういう構造になっていて、こう動いたときにこういう形になる」とか、そういうやつです。構造だけ・動きだけ・形だけ…というように情報が断片的な状態では情報同士の関係を把握しづらく、それらを自力でまとめ上げて作品に盛り込むのは困難です。ですので可能であれば、最初からひとまとまりの情報を手に入れるのがベストだといえます。

しかし残念ながら、そんなおいしい情報はネットではなかなか手に入りません。せいぜい細切れの情報が見つかるのが関の山です。だからたまには本物を見に行くのが近道なのです。動物園とか水族館とか、まあ近くに無ければ昆虫採集でもいいでしょう。実際にモゾモゾ動いている生物を観察するのが大事です。そうすれば後で参考用として写真を見たときに、その生物の色と形だけではなく、動きや生態などほかの情報を思い出す手がかりとして役立ちます。もし写真しか見なかったら色と形しかわからないでしょ。この差は大きいですよ。

最後に余談。ネット広しといえども、「いい資料が見つかんねぇ!!」ということはモンスターを考えているとよくあります。そういう場合はどうします?潔く諦めますか?…それも一つの手ですが、資料がなければ自分で用意するのも一つの方法です。たとえば、粘土をこねてフィギュアを作るとかね(実際にやってます)。パソコンが得意なら、近い形の3Dモデルをダウンロードしてグリグリ回してみるのもいいでしょう。そういうひと手間をかけると作品の出来が違ってくると思いますし、自分自身のスキルアップにも役立つはずです。

というわけで、モンスターデザインは「急がば回れ、百聞は一見に如かず」だと常々思います。一度見たら忘れてしまうような画像を集めるくらいなら実物を見に行きましょう。以上、ご参考までに。