モンスターを描こう!:モンスターの描き方・考え方講座

モンスターのフィギュアを作る:筋肉の盛り付け

下ごしらえができたので一番楽しい盛り付けを行います。なお説明に当たっては、写真だと見づらい部分が多いのでイラストも使いつつ説明します。

強度について考える

さっそく筋肉の盛り付けを行いたいところですが、ここでちょっと強度の確保について考えてみましょう。フィギュアというからにはある程度の丈夫さがなければ話になりません。ちょっと落としたらゴミ箱行き…なんてことになったら困りますよね。

それではフィギュアで一番強度を気にする必要のある部分はどこでしょうか?答えはもちろんです。しかし足は筋肉が目立つ部分でもあります。したがって筋肉を盛り付けることで強度を出しつつ見た目もかっこよくしていけばいいのです。

というわけで、まずは前のページの状態にどう手を加えればいいのかを考えます。

上のイラストのとおり、一番折れやすいのは足の付け根です。特に足の先端に力が加わると、付け根に大きな負荷がかかって折れやすくなります(力のモーメントというやつです)。さて、ここで出来上がったフィギュアを友達に見せる場面を想像してみましょう。人によってはフィギュアを持つとき、両足を掴むようにして持ち上げることも考えられます。このとき強度が不十分だとフィギュアが台無しになるだけでなく、友人関係にもヒビが入りかねません(そんなのは嫌だ)。

そういうことを考えると、足の付け根の部分を十分に補強するのが良いことがわかります。もちろん、このとき闇雲に粘土を付けるのではなく、解剖学を意識しつつ見た目との兼ね合いも考えながらもりもりしていくのが重要です。

強度を意識しつつ、筋肉の原型をつける

それではようやく筋肉の盛り付けに入ります。ここでは足をメインに説明しますが、そのほかの部分は図面や解剖図を参考にしながら作れば大丈夫でしょう。以下、盛り付けのときのポイントを絞って説明します。

足の付け根を補強する


付け根の部分に関しては、上のイラストのように内と外の両側に筋肉をつけることで強度を出します。前足ならば胸筋や三角筋等、後ろ足なら股間やお尻の筋肉等を重点的に盛り付けましょう。乾燥したら軽く押して強度チェックし、グラグラしなくなるまで補強します。

足のラインにメリハリをつける

足を作るときはメリハリを意識しないと丸っこい形になりやすいです。下のイラストを見てください。

ダメな例を見ると膝やかかとの位置がはっきりしませんし、足の裏が地面にちゃんとついていないので変な感じです。良い例のようにきちっと作りましょう。手順としてはまず膝とかかとの位置を明確にして、それから周りの筋肉を盛るとやりやすいです。

というわけで、このステップの内容を踏まえて粘土を付けると下の写真のようになりました。

筋肉の形をはっきりさせる

さて、ここまで横から見たときの見た目を重視して作ってきたのですが、そのままだと正面から見たときに平べったい印象になってしまいます。そこでもう少し筋肉を盛り上げて立体感を出します。すでに筋肉の形ができているので、粘土は少しだけつけて筋肉ごとの境界をはっきりさせるイメージで作業しましょう。

前足


実在する動物等でも前足の筋肉は複雑で、しかも目立つところなので念入りに作ります。今回はライオンと人間のを参考にしつつムキムキにしました。割と手間のかかる部分なので、ほかの部分を作っているときに間違って指で押してしまわないように注意しましょう。

後ろ足


後ろ足はかかとより下はほぼ骨と腱だけなので、特にお尻~太ももの部分の筋肉を目立たせるようにします。

背筋など

あとは背筋・胸筋を盛り上げたり、おなか周りのボリュームを増やしたりします。その辺の筋肉は全体のシルエットを左右するので、イメージしているシルエットに近づくように作業しましょう。粘土を盛る量や範囲が広いので加減がやや難しいかもしれません。

ここまでの作業により下のようになりました。

なんかこのままではムキムキなドラゴンになりそうな気がしました。とりあえず方向性としては筋肉質な獣型モンスターにしたいので、以降はドラゴンっぽくならないように持っていく必要がありそうです。

さて、この辺でデザインの段階で描いた山のような背筋をつけていきます。今ある背筋の上に大胆に粘土を盛り付けました。

せっかく形を作ったところに盛るのは効率悪そうに見えますが、一部の形状は背筋の下から飛び出る感じになるのでマイナスではありません。

あとはその他の部分もいくらか作業を進め、このステップが終わった状態は下の写真のようになりました。

全体的な形はほぼ完成ですね。あとは顔や足の指など、細かい部分を作って仕上げを行うだけです。