モンスターを描こう!:モンスターの描き方・考え方講座

モンスターデザインの基本

3:変形

モンスターデザインの基本となる最後の考え方は「変形」です。
今回は何か他の素材との組み合わせを考えるというよりも、
元のパーツの形や位置関係を変えることでパーツを強調する考え方になります。

この変形によって、パーツを適度に強調すればモンスターのイメージをより明確にすることができますし、
極端な変形をして誇張することで、見たこともないような不気味なモンスターを簡単に考えることも可能です。
(極端な変形は必然的に「不気味」な印象を与えることになります。詳しくはStage3でご説明します)

さて、この変形の考え方にはいくつか種類があります。
どんなパターンがあるのかをさっそく見ていきましょう。(2013⁄10⁄18)

1.拡大縮小・伸張短縮


パーツの一部または全部を大きく・小さくしたり、
あるいは伸ばしたり縮めたりする変形です。
(左上の図→右上の図が「拡大」の例になります)
拡大したり伸ばしたりすればパーツを強調することができますし、
逆に縮小したり縮めたりすれば目立たなくさせることができます。

2.追加・削除


何か新しい要素を付け加えたり、いらない部分を取り除く変形です。
ふつうは細かい部分に対して行うことが多い変形ですが、
大胆に行うことで見たこともないようなデザインのモンスターを生み出せる場合があります。

3.歪曲


対象を歪め、ゴムのようにうねうねとした形状にする変形です。
自然界にあるものの多くはしっかりした形をしているので、
この変形を行うと不自然で不気味な感じを与えるパーツになります。

なお直感的に分かると思いますが、この変形を適用した場合、
その部分は柔らかそうに見えるようになります。

4.分割・結合


一つのパーツを複数のパーツに分けたり、逆にいくつかのパーツを一つにまとめる変形です。
斬新で不気味な印象を与えるパーツを考えたい時によく使います。

5.回転・反転・移動

形そのものを変えるというよりも、位置関係を変更する操作です。
顔などがもつ整った位置関係を壊し、不気味で強烈な印象を与えたい時に便利です。

具体例:人間を変形してモンスターを作る

それでは、変形の考え方を使って実際にモンスターを考えてみましょう。
今回は人間をベースにして変形の威力を実感して頂こうと思います。


素体となるマネキン君です。
これから手を加える部分が多いので、骨に簡単に肉付けした状態です。


例によって力が強そうなモンスターにしたいので、腕を「拡大」します。
ヒジから下を特に太くしました。


次に頭を「削除」し、胸に目を「追加」します。
このように大胆な変更を行うと、より強烈で新規性のあるモンスターになります。


先ほどまでの結果を合わせ、足を少し「縮小」するとこんな感じ。
これだけでかなり人間離れした外見になりますね。

サイクロプス
あとは適当にかっこよく描けばサイクロプスっぽいモンスターの出来上がりです。
変形の考え方を使うと、このように元の素材とはかけ離れた姿のモンスターを考えることができます。

今回の内容をまとめると次のようになります。

基本の考え方「変形」とは

  • 素材となるパーツの形や位置を変更し、そのパーツを強調すること。
  • 意外な外見のモンスターや、不気味なモンスターを考えるときに便利

以上でモンスターデザインの基本についての説明はおしまいです。
次からは何をキッカケにモンスターを考えるのか、そのヒントについてご説明します。

では、最後に練習問題です。
余力のある方はぜひチャレンジしてください。

練習問題

イヌの体の一部を変形させてオリジナルのモンスターを考えてください。